オンコのしおり
(焼尻は、オンコの島)
オンコと言えば焼尻、焼尻と言えばオンコといわれる程に焼尻オンコは広く知られるようになりました。島のオンコを含む原生林はまた学術的にも貴重なものとして国の天然記念物にも指定されました。このオンコはイチイ科の常緑針葉樹で学名をタクサスクスピダータ (ギリシャ語でタクサスは弓、クスビダータは先のとがったの意)和名をイチイといいますが、東北、北海道では、オンコの名で呼ばれています。イチイの名の由来についてはいろいろの説があります。仁徳天皇の頃、宮中の儀式のとき高官の用いるシャクを国中から集めたところ、飛騨の国から献上されたこの木が木理といい、品といい最も優れていたので、これこそ木の中の一位だと天皇からその名を賜ったといわれています。アイヌ語ではクネニ(弓の木)というのだそうです。
オンコの歴史は古く、今から2億7千万年くらい前、ちょうど地球が恐竜時代に入ろうとしていたころ、マツ、スギ、ヒノキなどと共にこの地球に現れました、それから今日まで長い年月を,耐えて世代を繰り返して生き抜いてきました、耐陰性に富み、寒さに耐え、そして雪にも強い性質が永い生命を保ちえたのでしょう。洋の東西を問わずオンコが不老長寿の木と謂われるのもこの強い生命力ゆえでしょう。わが国でも古くから神助の木、或いは疾病を払う木とされ神社、仏閣や水田のわきにも植えられました。笏を作ったのもそのためでしょう。 イギリスでは葬送の木と言って死者の棺に入れ復活を祈りました。オンコの花言葉は強靭な性質に似ず「悲哀と哀愁」です。